不妊治療の病院選びと転院のタイミング|タイミング法から体外受精まで経験してわかったこと

不妊治療

不妊治療で一番悩んだ「病院選び」

不妊治療を始める前、私は「とりあえず通える範囲で評判の良さそうなところを選べばいい」と、病院選びを少し甘く考えていました。
家からの距離や、ネットの口コミ、なんとなくの雰囲気で決めてしまったところが正直ありました。

でも、いざ通い始めてみると、不妊治療において「どの病院で、どんな先生に診てもらうか」は、想像以上に大きな問題でした。
タイミング法の頃は、診察も一瞬で終わり、「じゃあこの日とこの日にタイミングをとってくださいね」と言われるだけ。
深く疑問を持つこともなく、「こんなものなのかな」と思いながら通っていました。

ところが、人工授精、体外受精、顕微授精とステップが進むにつれて、病院に対して感じる小さな違和感が、少しずつ大きくなっていきました。
診察はいつも流れ作業のようで、こちらが質問しなければ詳しい説明はあまりない。
「今回はこういう理由でこの方法を選びます」といった説明も少なくて、本当に自分に合った治療なのか、不安になることが増えていきました。

特に1回目の採卵で、麻酔もなく強い痛みに耐えながら手術台に横たわっていたとき、
「ここまでしているのに、私はこの病院を心から信頼できているんだろうか?」という思いが、ふと頭をよぎりました。
あの痛みと、その後の結果(初期分割胚が1つだけ、そしてそれも上手くいかなかったこと)は、私の中で「このままこの病院に任せていいのか」という大きな問いを生みました。

病院の待合室で、周りの人たちが何気なく話している「転院してみたら妊娠したらしいよ」「あそこのクリニックは培養環境がいいらしい」という噂話にも、敏感に反応するようになりました。
それまで「病院を変えるなんて大げさ」と思っていた私が、「もしかして私も転院という選択肢を考えるべきなのかな」と、真剣に考え始めたのはこの頃です。

不妊治療の病院選びは、正解がわからないまま、走りながら判断していかなければならないところがあります。
当時の私は、「この病院を信じたい気持ち」と「本当にここでいいのかという不安」の間で、ずっと揺れていました。
振り返ると、治療内容そのものと同じくらい、病院選びそのものにも心をすり減らしていたように感じます。

私が重視した病院選びのポイント

不妊治療の病院を選ぶとき、私が一番重視していたのは「家と会社からの距離」でした。
短期決戦ではなく、長期戦になるかもしれない治療だからこそ、通いやすさは私にとって最優先事項でした。

仕事を続けながら治療をする以上、通院の多くは「会社帰り」になります。
残業を調整してギリギリで病院に滑り込む日もあれば、朝イチの診察を取ってから会社へ向かう日もあります。
そんな生活を何ヶ月も、もしかしたら何年も続けることを考えると、「家から近い」「職場からも通いやすい」という条件は、外せないポイントでした。

もう一つ気にしていたのは、「先生の人柄」でした。
ネットの口コミを読み漁りながら、私は特に「責めたり、きつい言い方をしない先生かどうか」を気にしていました。
不妊治療中は、ただでさえ自分を責めがちな毎日です。
そんなときに、ちょっとした言葉で患者を追い込んでしまうような先生は、どうしても避けたかったのです。

一方で、当時の私は「麻酔」についてはあまり重要視していませんでした。
麻酔の有無や方法は、医師が必要だと思ったときに提案してくれるものだと、なんとなく思い込んでいたからです。
「私が麻酔を受けるほどの状態ではない」と判断されているのだろう、と深く考えずに受け入れていました。

ところが、クリニックを卒業したあとで、不妊治療専門のクリニックの情報をあらためて調べてみると、
採卵のときに全身麻酔や部分麻酔を標準的に導入している病院もあることを知りました。
そのとき初めて、「病院によって、こんなに麻酔の方針が違うんだ」ということを痛感しました。

もしあの頃の自分にアドバイスできるなら、
「家や会社からの距離」「先生の人柄」に加えて、
「採卵時の麻酔体制」も、最初から病院選びの条件に入れておいてよかったかもしれない、と思っています。

転院を本気で考えた瞬間

転院という選択肢は、私にとって「最悪のケース」「治療が失敗した証拠」のようなイメージがあって、できることなら絶対に避けたかった選択でした。
同じ病院で結果が出るのを信じたいし、また一から説明し直すのも億劫でしたし、「転院=今の病院を否定するみたいで気が引ける」という気持ちもありました。

でも、心のどこかでは「体外受精と顕微授精を合計5回挑戦しても結果が出なかったら、本気で転院も選択肢に入れよう」という、自分の中で明確な基準を設けていました。
先生に相談しても具体的な先が見えない返答ばかりで、治療の方向性に不安を感じるたびに、「5回というライン」を頭の中で確認していました。

ネットで「有名人が通うクリニック」「妊娠率が高いと評判のところ」といった情報を目にするたびに、
「私もあそこに行けば違った結果になったかもしれない」「もっと早く動いていれば」という考えが頭をよぎりました。
実際には、そんなクリニックに行く経済力も勇気もありませんでしたが、「どうしてもダメなら、そういう選択肢しかないのかも」とまで思うほど追い込まれていました。

幸いにも、その「5回」というラインに到達する前に治療が終わりました。
あの基準があったからこそ、「どこまでも続けそうで怖かった自分」を、ある程度コントロールできたのかもしれません。

転院を本気で考える段階までいかなかったことが幸いでしたが、あのときの「自分なりのライン」がなかったら、きっともっと長く苦しんでいただろうな、と今は思います。

今ならこう病院を選ぶ・アドバイス

もし今、不妊治療の病院を選び直すとしたら、私はもっと先のことを考えて選びます。

一人目の子を連れて通院できるか
不妊治療が上手くいって一人目が授かったとしても、第二子・第三子のことを考えると、
「小さい子どもを連れて通える病院かどうか」を視野に入れるべきだと思います。
キッズスペースがあるか、授乳室があるか、子ども連れでも落ち着いて診察を受けられる環境か。
あの頃の私は「まず妊娠すること」にしか頭がいっぱいで、そこまで気が回りませんでした。

培養士の技術を重視する
最終的には、受精卵の質を左右するのは「培養士の技術力」だと感じています。
タイムラプス培養器の導入状況や、培養士の経験年数・人数も、病院選びの重要なポイントになるはずです。
成功率を公開している病院なら、それを参考にするのも現実的な判断材料だと思います。

先生のタイプを見極める
先生には大きく2パターンあると感じました。
私の通ったクリニックのように、淡々と正確に情報を伝えてくれる「ビジネスライクな先生」。
そして、患者一人ひとりに親身になってくれる「カウンセリング重視の先生」。
どちらが「いい先生」というわけではなく、自分が安心できるタイプを選ぶのが大事です。

保険診療の先の実費も想定する
保険適用外の治療やオプション(着床前診断、胚凍結の追加保管料など)がどのくらいかかるのか、
最初から見積もりを聞いておくべきでした。
長い通院生活になる可能性が高いので、「実費になったときの負担感」も、病院選びの材料に含めたいと思います。

これらの視点を、当時の自分に伝えられたら、もう少し心穏やかに治療を続けられたかもしれない、と今は思います。

いま病院選びで悩んでいる人へ

不妊治療の病院選びで悩んでいるあなたに、私の経験から伝えたいことがあります。

病院選びは、正解のない迷路を歩いているような感覚になることがあります。
「この病院で大丈夫かな」「もっと妊娠率の高いところがあるんじゃないか」と、どの選択肢を選んでも不安が消えないものです。

でも、どうか覚えていてほしいのは、
「完璧な病院」は存在しない、ということ。
どの病院にも強みと弱みがあり、どの先生にも得意不得意があります。

大事なのは、「自分が納得して通える病院」を選ぶこと。
家や会社から通いやすいか、先生の説明がわかりやすいか、採卵の麻酔体制はどうか、
そして何より、「この病院なら任せられる」とあなた自身が感じられるかどうか。

転院を考えるのは怖いかもしれません。
「今の病院を否定するみたい」「また一から説明し直し」というプレッシャーもあります。
でも、「自分に合わない」と感じるなら、早めに動く勇気も大事です。

長い通院生活になるかもしれないからこそ、
「通うのが苦にならない」「心から信頼できる」病院を、少しでも早く見つけられることを願っています。

あの頃の私が、こうやって経験を書き残すことで、
誰かの病院選びの、少しのヒントになれたら嬉しいです。
あなたにぴったりの病院が、きっと見つかりますように。

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